先月マネット首相の公式Facebookページにある動画が投稿された。
その動画にはマネット首相がシアヌークビル特別経済特区での式典にご臨席された際にその経済特区で働くカンボジア国民と直接ふれあい、写真撮影に応じる姿があった。
マネット首相のカンボジア人労働者との撮影は、動画内だけでも10分以上におよんだ。
次から次へと途切れることなく連なる撮影希望者一人一人との写真撮影に笑顔で丁寧に応じる姿はマネット首相の人柄を表しており、とても魅力的に映った。
一国の指導者として自国民と触れ合うことは、セキュリティ上の懸念はあるものの、とても重要であると位置付けているからこその行動であり、カンボジア国民もマネット首相そうした姿勢を高く評価していると言える。
もちろん他の国の指導者も自国民との触れ合うことはあり、それ自体は決して珍しいことではない。我が国日本においても、総理大臣が視察先などで地元の人たちと触れ合うことはあるが、政治不信が影響してかどうも支持率を気にした人気取りのパフォーマンスに見えてしまう。
もちろん日本の総理大臣とカンボジアの首相は同じ一国の指導者とはいえ、政治制度、置かれた立場、取り巻く環境、職務範囲や与えられた権限も違うため、同一のものとして比べるのは無理があることは承知しているが、好感度が支持率にも影響することを考えれば、自身の政策を進めるためにも国民とのコミュニケーションはとても重要である。
たとえば街中で偶然芸能人を見かけ、握手をお願いしたら快く対応してくれただけでファンになってしまう人もいるだろう。芸能人と一国の指導者を同列に語るのは失礼かもしれないが、人というものは得てしてそういうものである。
それは確かにその人の一面しか見ていないかもしれない。だが逆にそれが友達であれ、恋人や配偶者、親であってもその人の全てを知ることは不可能であり、それ自体が重要なのではなく、それをきっかけに興味を持ち、より深く知ろうとすることが大事なのである。
その意味では、私のマネット首相に対しての好感は、仕事をきっかけに調べるようになり、やがてもっと知りたいと興味を持つようになり、知れば知るほど好感を抱くようになったのがまさに典型的な例ではないだろうか。
さらにマネット首相を調べる中で、以前に自身のFacebookにて3つの教訓について語った記事を見つけた。
「常に国民のことを考え、国民のために立ち上がること」
「常に国家の偉大さを念頭に置くこと」
「明確な決断を下し、その決断と行動に責任を持つ勇気を持つこと」
これらは今まさに日本の政治家が求められていることではないだろうか。
日本はGDP世界3位でまだまだ先進国ではあるが、だから何だというのか。
GDPが何位であろうと自国を誇れる国民は幸せであり、その国のリーダーは憧れの存在である。
追記
6月27日、日本経済新聞に「国際協力、営利目的でない 人々の幸せを念頭に」という5月29、30日に東京都内で開催された日経フォーラム第30回「アジアの未来」にて登壇ししたフン・マネット首相のスピーチの記事が掲載された。
同記事によるとフン・マネット首相は「オピニオンリーダーが果たす役割は大きい。憎悪と怒りに満ちた分断された社会は本当に必要なのか。〜中略〜 外交関係で火に油をそそぐのか消火に努めるのか、選択肢がある。分断や対立ではなく、国際協力を回復して調和を築く時だ。国際協力は営利目的の取引ではない。国際協力の恩恵は数字に表れる以上のものであり、信頼や友情、人間性に及ぶ。貿易の障壁を設けて極端な愛国主義を求める過激な政治家の台頭を抑えて平和を維持し、平和を求める人々を尊重すべきだ。」と述べられた。
今まさにカンボジア国民、あるいはカンボジアに住む外国人も不必要に分断を煽るような言動は避け、フン・マネット首相の泰然自若とした対応を見守るべきであろう。