現在カンボジアには代表的な港が三つある。プノンペン自治港、シアヌークビル自治港、そしてカンポット多目的港である。
カンポット多目的港は唯一100%民間の会社が運営しており、カンポット特別経済特区と併せて運営されている。
CONCH(セメント)やGSI(鉄鋼)で有名なNeak Oknha Dr. Wing Hour氏によって2018年に建設が始まり、昨年2024年に第一段階が完成し開港されたばかりの港である。
第一段階として開港した港は、約1億4000万ドルをかけて建設され、長さ450メートル、幅60メートルの桟橋、55000平米のコンテナエリア、8800平米の倉庫、1330平米の貨物コントロール及び管理事務所が備わっている。
なぜこのカンポット多目的港に注目が集まっているかというと、テチョ・フナン運河の開通により、今後同港が貨物の中継地となることが期待されていることが一番にあげられる。
このテチョ・フナン運河はカンポットからテチョ新国際空港を経由しプノンペンへと続くことからカンボジアにおける今後の流通の要となることから、その重要性は計り知れない。
我々のインタビューに対し、同港のゼネラルマネージャーのVirakbot Phann氏は「カンポット多目的港は最近タイ、中国、インドネシアなどの海外から鉄鋼や石炭を輸入し、またカナダへ鉄鋼を輸出するなどしています。さらにタイヤメーカーや肥料製造メーカー、木材チップの会社などが経済特区に入居しており、2025年末までにさらに約10社が入居予定です。」と語ってくれた。
そもそもカンボジアに初めて経済特区の開発構想を提案したのは日本であることを知っている人は意外と多くはないだろう。
2000年 “SEZによる50万人職作り構想”として民間投資を促し、若者の就職先の創出を目的としていたが、今では“100万人職作り構想”に格上げされるほど実績が評価されている。
当時からは想像できないほど経済成長した現在のカンボジアにおいてSEZの役割は単なる雇用創出にとどまらず、さらなる経済発展とASEAN地域におけるカンボジアの重要性を向上させることに繋がるだろう。