//省エネ×ナノ技術、カンボジア進出へ

省エネ×ナノ技術、カンボジア進出へ

遮熱・断熱性能を持つナノテク塗料で国内トップシェアを誇る株式会社スケッチ(東京都台東区、代表取締役・島田靖弘)が、カンボジア市場への本格進出を始動した。電力インフラが脆弱な東南アジアで、空調負荷を年間25~30%抑える同社の製品は、環境対策と経済合理性の両面で注目されている。

スケッチ社の主力製品「IRUV Cut Coat」は、窓ガラスに塗布することで近赤外線の90%、紫外線の99%を遮断し、室温上昇や冷暖房効率の低下を防ぐ断熱ガラスコートだ。専用ローラーによる簡易な施工方式に加え、15年以上の耐久性を特長とする。従来の断熱フィルムに比べて性能・施工性・コスト効率で優れ、施工後の補修や剥離も可能なことから、建材改修やリノベーション分野での需要が高い。同製品は、東日本大震災後の節電ニーズに対応し、全国の病院・商業施設などに広く導入された。結露防止効果も備えており、快適な住環境の維持にも貢献する。

こうしたIRUV Cut Coatの特性は、高温多湿かつ電力供給が不安定な東南アジア諸国でも有効だ。冷房需要が根強い一方、インフラの整備が十分でないカンボジアでは、建築物の構造的な省エネ対策が必要とされている。また、空調機器の稼働時間短縮や機器寿命の延長にもつながるため、中長期的にも有効なソリューションとなりえる。

スケッチ社は、海外では2013年からアメリカ、中国、ベトナムなど30カ国以上に製品を供給してきた。カンボジアでは、JATICが研修機能と展示スペースを担い、スケッチ社は製品供給と技術支援を担当する。現地建設業を対象に代理店制度で事業展開し、育成された中小施工業者が施工を担う。この3層構造によって、製品の品質担保と持続的なビジネス運用を両立させる狙いだ。

JATICは、首都プノンペンに製品展示場および研修センターを設置、現地での理解促進に向けて、代理店ネットワークの構築や施工人材の育成に加え、断熱効果も体験できる施工デモや製品紹介セミナーなどの開催を計画している。また、SNSや動画を活用した情報発信でも代理店や施工業者を支援する。

スケッチ社は製品供給に加え、施工環境に関する技術サポートも継続的に提供する。販売後のトラブルを防ぎ、導入先での効果を最大限に引き出すための体制を現地に構築しており、このような体制作りは、これまでに30カ国以上に製品を提供してきた経験から導き出されたものと言え、他の輸出型メーカーとの差別化要因にもなっており、カンボジアの代理店にとっても安心材料となる。

スケッチ社の製品は、電力インフラの負荷軽減と建築物の資産価値向上を同時に実現する技術として、エネルギー課題と経済成長の双方に応えるポテンシャルを持ち、地域の持続可能な発展への寄与が期待される。