//第9回カンボジアフェスティバル、代々木で開催 —— 観光・経済・交流を軸に深化する日カ関係

第9回カンボジアフェスティバル、代々木で開催 —— 観光・経済・交流を軸に深化する日カ関係

2025年5月3日・4日、東京・代々木公園で「カンボジアフェスティバル2025」が開催された。9回目となる今回は、両国政府関係者や外交団、市民らが多数参加し、包括的戦略的パートナーシップの深化と市民レベルの交流促進を象徴する場となった。

開会式では、実行委員長も務めるTUY RY駐日カンボジア大使が登壇。「フェスティバルは2015年以降、文化と経済の橋渡しを担ってきた」と述べた。両国関係は2023年に「包括的戦略的パートナーシップ」へ格上げされ、2024年の二国間貿易額は前年比21.1%増の2,660億円に拡大。日本企業による新規・拡張投資は88件に上り、民間経済交流の裾野は確実に広がっている。

観光省副長官Hul Seila氏は、2024年の外国人観光客が前年比23%増の約670万人に達したことに言及。「観光は平和と繁栄の象徴」「観光はすべての人のために」「1人1人が観光の推進者」とするスローガンを掲げ、観光振興を軸とした日本との協力継続を呼びかけた。

日本側からは、外務副大臣の宮路拓馬氏が登壇。日本が1953年の国交樹立以来、インフラ整備や教育・医療支援を通じてカンボジアに関わってきた経緯を振り返った。「近年では、サイバーやデジタル分野での連携も進んでいる」と話し、将来の協力分野に言及。地元・鹿児島県が行う中高生の交流事業を紹介しながら、「国際関係は人と人とのつながりに支えられている」と強調した。

元日本カンボジア友好議員連盟会長でカンボジア首相顧問の今村雅弘氏は、「フン・セン前首相からフン・マネット現首相へと政権が移る中でも、カンボジアは着実に発展を続けている」と語り、「電力や輸送インフラを中心に、日本も引き続き支援を続けたい」と述べた。

会場では、伝統舞踊や音楽の公演、観光・投資関連の展示のほか、クメール料理、工芸品や衣服の屋台が軒を連ねた。フェスティバルは文化の紹介にとどまらず、観光やビジネス分野での情報発信の場としても機能しており、「文化と経済の融合」という本来の狙いをより明確に打ち出す形となった。

本イベントは、経済外交の一端を担うと同時に、両国民が相互理解を深める機会にもなっている。来年以降の継続開催を通じ、両国関係の実質的な強化につながることが期待される。