2025年のカンボジアの経済の見通しについて考えるとき、いくつかの要因を考慮する必要がある。カンボジアは、過去数十年にわたり急速な経済成長を遂げてきたが、その成長の持続可能性や今後の課題も注視しなければならない。
カンボジアはこれまで低中所得国として急速な成長を遂げてきており、2025年には年率5~6%程度の経済成長が予想されている。この成長の源泉は、主に製造業、建設業、観光業、農業の4つのセクターに依存していると言える。特にアジア全体での需要が高まる中で、カンボジアの低コストで生産的な製造業は今後も競争力を持ち続けるだろう。
その製造業、特にアパレルや靴、家具などの輸出は、引き続き経済の主力となっていくと見られている。中国や欧州連合(EU)、アメリカ向けの輸出が増加している中で、特に「一帯一路」構想や地域的な貿易協定(RCEP)の影響も大きいが、反対に労働力のコスト上昇や、製造業における自動化の波といった懸念材料も存在する。
さらに観光業は、カンボジアの経済にとって重要な柱となっているが、COVID-19のパンデミックの影響からの回復が進む中で、2025年には観光業の復活が期待されている。アンコール遺跡を中心に観光客の数が増加することが予想され、特に中国や東南アジアの近隣国からの観光客の増加が見込まれている。
農業においては依然としてカンボジア経済における重要なセクターであり、特に米、ゴム、カシューナッツ、コーヒーなどが主要な輸出品目となっている。ただし、農業の生産性向上や気候変動への対応が今後の課題となると共に、農産物の処理や加工など新しい技術や農業改革の推進を目指しており、今後もさらに期待が高まる。
カンボジア政府はこれらを支えるインフラ整備を積極的に進めており、これが経済成長にとって重要な要素となる。中国を中心とした外国からの直接投資は引き続き重要だが、さらなる投資環境の整備が期待される。インフラ投資の拡大は、物流、エネルギー、通信、都市開発などに関連しており、これらが経済全体を支えとなる。
世界経済、特に米国や中国の経済動向がカンボジアに与える影響は小さくなく、貿易摩擦や世界的な景気後退が経済成長にリスクをもたらすことも見落としてならない。現状、カンボジアの経済は2025年には安定した成長を見せると予測されているが、労働市場や環境、主要国の動向などが引き続き経済に影響を与えることが考えられ、成長の鍵と見られる製造業の競争力強化、観光業の回復、農業の効率化の今後の動向に注目したい。